いつも以上にキャラ崩壊してます。
許せる方だけ、どうぞ。





うさぎのぬいぐるみ相手にキスの練習をしてみた。
「ちゅーーーー」
ぶちゅっとすると、埃が唇についてロロは顔を顰めた。
何かが違う気がする。
(…確かに、兄さんはぬいぐるみじゃないけど)
動かないうえに耳もこんなに長い物ではないけれども、このうさぎをルルーシュだと思い込んで練習してるのだからこれはロロにとってルルーシュなのであって、それ以上でも以下でもないはず。
けれども、やっぱり何かが違う。
「んー?」
何が違うのだろう?紫か?紫が足りないのか?ルルーシュの瞳の色は綺麗なキラキラした紫だ。しょうがないのでロロは紫のペンでうさぎの目をぐりぐり塗りつぶしてみた。
おでこにぶちゅっとして、満足気にロロが覗き込んだうさぎの目は元の色に戻っていた。慌てて手鏡を見ると、ロロのほっぺたがうさぎの目の形に両方紫に丸くなっている。
(水性…うっかりしてた!これじゃ、ただの黒い目のうさぎにキスしただけじゃないか!)
引き出しをガサゴソ漁ったけれど紫色の油性ペンなど当然のようになかったので、ロロはぶちんとキレそうな頭を理性で押さえて考えた。
(だいたい、こいつ全体がピンク色だし……兄さんって言うか、ナナリーっていうか)
アルバムの中のほとんどの写真でルルーシュの隣の位置を一人占めしているルルーシュの本当の妹のナナリーがピンク色のヒラヒラしたドレスを着ていたのを思い出して、ロロはなんとなくムッとする。このぬいぐるみだってそう言えば、物置にしまってあったのを適当にとってきただけのものだからもしかしたらナナリーのものだったのかもしれないのだ。
(げっ。兄さんのだと思い込んでた!)
ロロはぶぅっと頬を膨らませてうさぎのぬいぐるみをベッドに放り投げた。
そのままベッドに横たわっていたけれども、何となく気になってぬいぐるみの上にダイブした。
(もしかしたら、兄さんのものかもしれないし)
えいっと力を込めてぎゅうっとしてやる。ルルーシュ早く帰ってこないかなぁとわざとジタバタしながらうさぎのぬいぐるみを体の下にひいてぎゅうぎゅうごろごろしてやる。ぬいぐるみは苦しそうに重力の力を借りてあっちへコロコロこっちへコロコロ動くものだから、ロロもベッドの上をあっちへコロコロそっちへコロコロしていた。
ガチャッ、と扉が開いたとき、ロロは変な態勢だった。
「ロロ?ただい……何やってんだ?」
「兄さん!」
おかえり!と満面の笑みで立ち上がってルルーシュを迎えると、ルルーシュは『ヨレヨレだぞ』とロロの衣服を整えてくれる。少し恥ずかしかったけれども、ロロは嬉しかったのでされるがままに兄にかいがいしく世話を焼かれる弟のようにおとなしくしていた。――ルルーシュさえ記憶を失っていてくれればその通りなのだけれども。
ロロの睫毛がふるふる震えて、その先に見えるルルーシュの姿がキラキラする。
「はい、よし。ボタンくらいちゃんととめておけ」
「今度からそうするよ」
ルルーシュは本当か?と疑わし気だ。元々ロロはあまりきっちりした性格ではなく、結構私生活に対してはだらしなかったから、ルルーシュはその点がどうも気になるらしい。潔癖ゆえに気に入らないと言った方が正しいのかもしれないけれど。
「兄さん!」
「ん?」
部屋を出て行こうとするルルーシュの腕をつかんで、ロロはにっこりと笑った。こっちを見て、と両頬を両手でつかんで向かせると、ルルーシュはまた顔をしかめた。
「お前、その頬っぺたの紫はいったい……」
「ああ、これは練習してたから」
「練習ってなんの……」
「それより、ちゃんとこっち見てて?」
「ああ」
ロロは心臓のあたりを押さえて、少し深呼吸してから、じいっと見てくるルルーシュの目を見て、
「バカラバカラペテンのフキヌケ
アブドラバンチョのベソッカキ
チララチララチンチラパパイヤ
クラクラヌンチャクヒジデッポ
ケセラケセラママコのガリベン
ハレヒレメガネのブットバシ!!!」
と叫んだ。
ルルーシュはひるんだ。
「え?」
「僕が大好きになる呪文だよ!」
「……?」
「今日テレビつけたらやってたんだ。イレブンの昔の歌特集みたいなの。録画して、何度も観て一生懸命覚えたんだ」
「そ、そうなのか……」
ルルーシュは言葉にならないらしい。ロロは効いたかな、とにやにやするのが止められない。
この呪文を聞けば、みんな誰でもどんな人でも自分に恋してくれるらしい。
「どう?どう?」
「いや……あの、どうって……」
「兄さん、ちゃんと僕の目を見て!」
と言いつつ、ルルーシュが覗き込んでくるとロロは恥ずかしくなって自分から目をそらしてしまった。ルルーシュの目は、あんな水性の紫色よりもよっぽど綺麗な色をしていて、やっぱりうさぎのぬいぐるみなんかじゃ練習の相手にはならないなと思う。
けれども、一生懸命練習してきたのだし、ロロは上手に出来るはずだ。その証拠に練習してきた呪文は一文字も間違えずに言えた。
「兄さん!」
「な……」
ガバッと襟を掴んで、彼の瞳を見つめながら口唇に届くはずが、引いた手が強すぎて勢いよくルルーシュの鼻にキスしてしまった。ロロは呆然とする。
「ちょっ、ロロ!」
「……し、失敗した……完璧だったのに……兄さん、うさぎの耳を生やしてよ!」
「は?」
「僕、それなら上手に出来るよ!練習してきたし。ねえ兄さん!」
「!ロロ、落ち着っ!」
「ん…っ」
いきなり錯乱して飛びかかろうとしたロロを避けようとして、ルルーシュは放り投げられて床に転がっていたうさぎのぬいぐるみを足で踏んづけて転び、前のめりに突っ込んできたロロを倒してその上に倒れた。
ぶちゅっとされて、ロロは近くにあったルルーシュの瞳をびっくりして覗き込んだ。ルルーシュははっとどくとロロと目をあわせられなくて、ロロの頬っぺたの紫を謝るのも忘れて見ていた。なんであんなところに紫色の丸を描くような練習が……。
キスされた唇が熱くて、ロロはぼーっとする。やっぱりあの恋の呪文は効くのだと半開きの口から溜め息が漏れた。練習してよかったな、と思う。うさぎのぬいぐるみよ、ありがとう。




20080805『うさぎのぬいぐるみ』

すみません…。
ちょっと…これは…
ロロって頭のネジが一本どころか十本くらいぶっ飛んでるんだろうなぁとは思うんですけど、
これはひどい…すみませんでしたorz
ルルーシュもなんか色々ぶっ飛んでるロロ相手にして慣れてきてる感じで。
ロロ的にこう…ルルーシュに『好き』とか言うのはすごい照れてしまって、恥ずかしいし有り得ないとか思ってるんですけど、
伝えたいんだろうなぁと思った末の…なんだろうこれ。
ルルーシュは兄弟愛な感じです。ルル←←←ロロ